萩谷界隈

引っ越したヲタの日記帖 萩谷慧悟 7ORDER

知らないところへ! 舞台『PSY・S』ドイルと萩とディスグーニー

ディスグーニー 舞台『PSY・S』(サイ・ズ)

disgoonie.jp

ロンドン・ベーカー街 221B
一人の若き医師コナン・ドイルは、失踪した彼女を探しに、スコットランドからロンドン行きへの汽車に乗る。
最初に出逢ったのは、ジョン・H・ワトスン。そして、もう一人の男。
これは、出逢いの物語。そして冒険の始まりの物語。
(前書きより)

      * * *

ひとつの仕事について、延々とダラダラと、あれこれ思い出しては書いて過ごすのが趣味だというのに、千穐楽を迎える前に、すでに次の仕事が発表されていた(詳しくは書き出すときりがないけれど、私トップクレジットに彼の名が掲載されているのを初めて見た。いや私だけじゃない勿論。誰も見たことがない!)。とんでもないことです。

萩谷慧悟、行けるところまでいこう。何がどんだけ出来るのか、もう私にはさっぱりわからなくなった。ありがたいことに。こうなったらどこまでも。知らないところへ行こう。見たことのない場所へ行こう。

そしてこの物語もまた、知らないところへ連れてきてくれました。舞台『PSY・S』(サイ・ズ)。ディスグーニーの世界。

      * * *

観劇後の電車や、夜ふけてから、あれこれ思い出しては書き出していた。ざくざくと。

期間中、あまりTwitterにはあれこれ書かなかった。何を書いてもこれから観る方の邪魔になるような気がして。
本来、「Twitterでのネタバレは自衛するし自衛しろ。ネタバレ禁止は原則愚策」派閥なのだけれど、こと物語が「ミステリー」的なものなら話は別。それは書いてはならない。そして何がどこまでOKなのかの線引きがとてもむずかしい。
なので、これまでになく、書かなかったなあ。むずかしかった。

でも日々書き残したいことは山程あって。
それとは別に、「あらすじ」というメモはほぼ段取り書き起こしになっていた。思い出し書きだからまあだいたい、なのだけれど。あと「殺陣」メモとか。殺陣は浪漫だ...

舞台『PSY・S』が始まるまえ、ホームズとワトスンとドイルが共にいる世界、というだけであれこれ想像が広がってしまい、そしてあのCMのテイストやビジュアルの影響もあったのか、もう全然、全然違うストーリーをイメージしてた。そして実際の物語は、もっと壮大にファンタジックで、人生で、繊細で、まさに「笑いあり、涙あり」で、大笑いしたし、泣かされた。

何より初日の一幕が終わる瞬間、びくっとして背筋が伸びた。そしてゴリゴリに転がり回収されていく二幕。

面白かったなあ。萩の出演がどうこう抜きで、これはもうどなたにでも勧められる舞台だと思った。例えば「ちょっと気になるかも」くらいの興味があるなら絶対に絶対に観たほうがいいと言える、数少ない演目でした。いや実際、そういうのは数少ないよ。どんなものでも「人に勧める」というのはハードルが高い。私はそれが苦手だ。自分が「うーん」なんて思った演目でも、絶賛する方はたくさんいる、なんてことはよくあることで。でも、これは違った。だからほんとはもっともっとSNSTwitterとかで大騒ぎしたかったなあ。しかし、それがむずかしかった。そこだけですよ。この舞台に何か心残りがあるとしたら!笑


そして上手い人しか居ないこのステージにおいても、萩はとんでもなく上手かった。まいった。

いや上手いことはわかっていた。そもそも、役になりきることが出来る人だった。どんなに出番が少なくとも。そういうことに左右されない人。

(勿論、技術的にそれほど上手くなかった時代を経て、の話だけれど)

でも「本当のところ」がわかったのは、ごく最近のこと。

仮面ライダー斬月のアイム役、そして何よりダークアリスを通して、それがわかったのですよね。以前の彼を知っている人ほど驚く。実際、自分が一番驚いてる。ずっと驚かされてる。

舞台『PSY・S』のドイルは、ストーリーテラー的な役割もある役だった。いま何が起きているか、その後どうなったのか、など独白するシーンも多く、「本を閉じる」というアクションやドアをあけるモーション等で場面の切り替わりを表現するなどもあった。ドイルは基本的にはまっすぐな普通の青年だけれど、その「まっすぐな普通さ」がいかに難しいかって話をどこまでもしたくなってしまう。

そして、そのキャラクターをベースにしたまま、首のかしげ方、目の見開き方で客を笑わせる。可愛らしさを振りまいてくる。とても舞台的なやり方で。愛嬌。殺陣、アクション、けして諦めない心の表現、冒険心、愛情。

ワトスンとドイル
リサさん、トビー、ドイル
ルパンとドイル
教授たちとのシーン
リオン!
ダンサーズ!アンサンブル!
ワーカー警部とのシーン
ホームズとドイル
ルパンとドイルと大佐
リサさんとワトスンとドイル
ディマリア!ライザ!
恋人メアリーとのシーン
ホームズ、ワトスン、ドイル

もうどのシーンも、どのキャラクターもどの役者も(そして西田大輔さん!スタッフ関係者の皆様!)愛おしく離れがたいです。
また乗船したい。絶対する!!

(そして次の公演発表がこんなに早くやってきてそこに我らが長妻怜央が!いるんですけどもう!最高!!→ 舞台「DECADANCE」~太陽の子~

      * * *

おまけ。

初日から3公演は友人と共に観劇した。帰りにご飯を食べながら「めちゃくちゃ良かった!! 面白かった!! 絶対ネタバレできない!!!」なんて騒ぎながら。「7ORDER」以降、人付き合いも変わったように思う。なんだろうな。彼らが新たなステージで、再びがっつり組むとわかってから、何か少し安心したのかもしれない。Jr.の世界はすべて突き詰めれば個人戦。どれだけの結束(らしきもの)や、絆(らしきもの)がそこに見えたとしても。でも、いまは違う。少なくともいまこの瞬間は。

萩についても。

彼が「人」や「区切り」や「終わり」に、本当の意味で執着するような姿を、もしかしたらこの舞台『PSY・S』で初めて見たのかもしれない。熱心で、なのに冷静で、何か物事が終わっても、その終わりを目に見える形で愛でることはあまりなかったように思う。そして次のこと、先のことを迷わず口にする。そこが好きで、いまももちろん好きなままだし、彼の良さだと思う。

(そもそも、そういう姿を目にする機会など普通はない。今までもそりゃああっただろう。けれど、ファンである私がそれを見る機会はない。なかった。ということだと思う勿論。そのうえで)

舞台『PSY・S』をつくり上げ、日々上演する中で、何を得たのだろう。あれほど「最高の出逢い(座組・作品・仲間)」だと口にし言葉にし、名残惜しみ、あんなふうに泣く姿だって勿論見たことがない。ブログだって。あんなにも。

本当に良い機会に、仕事に、人に、ご縁に、恵まれたのだ。恵まれている。
ありがたいことに、ずっとそれが続いてる。
仮面ライダー斬月、ダークアリス、舞台7ORDER、PSY・S、そして次は『えんとつ町のプペル』へ!

 

最後に。これは11月25日、Twitterに書いたもの。

梅田・大千穐楽のときの教授・谷口さん カテコの言葉。

保険がない舞台ディスグーニー(つまり安心材料が少ない、というニュアンスだと思うのだけれど)。原作を知ってるから、そのキャラが好きだから、といった材料がない。そのうえで絶対に次も!と強い言葉でお誘いしてくれて、命を懸けて演っていると言っていて。

こういう方と、方々と共演できて本当に何にも代えがたいものを彼は得ることが出来ただろうと思った。
私も初めてディスグーニーの舞台を観ることができた。知らなかった。知らないことは山ほどある。まあまあ生きてても。

また知らないところへ行こうな!萩!